「…『強い』って…『僕』が…ですか…?…」
 僕の『言葉』に唖然とした様子でアレンくんはそう呟く。
 唖然として目を見開くアレンくんに、僕は頷き…
 「そうだよ、キミは『闇』に『堕ちて』いない方がおかしい状況だった。クロスでも『闇』に心を包まれていてそして『種』を植え付けられているキミは『本来』なら救えない筈だった。…けれどキミは…実際には『闇』に『堕ちて』いない」
 彼の瞳をジッと見据えて…
 「…キミがそうならなかったのは、クロスの『術』の『効力(ちから)』もあっただろうけど…なによりキミ自身の『心の強さ』があったから…」
 そう告げた…


 
―『種』と『ノア』―
              ―17―
  


 …言われた『言葉』に…それが僕にはあまりに意外で…僕は目を見開く。

 「アレンくん、キミはキミが考える以上に『強い』んだ」
 そう言われて僕は首を左右に振る。
 …そんな…そんなこと……
 「……僕はっ…」
 涙が零れる。

 …嗚呼…やっぱり僕はこんなにも弱いじゃないか……
 そう思う僕を余所にコムイさんの『話し』は続く… 

 「…その証拠に、今もキミは『自分自身の事』より『周りのみんなの事』を考えてる」

 …違う…それは違います…コムイさん…
 「……買いかぶり…です…僕は…ただ…『自分』が……」
 …傷つきたくなくて……
 「……コムイさん…さっき…あなたが言った通り…僕は…自分が傷つきたくなくて…だから…っ…!……」
 そこまで言って唇を噛む…
 …頭の中がぐちゃぐちゃで…これ以上がもう出てこない…
 涙が頬を伝って落ちる…
 「……アレンくん…確かにさっき僕は『キミ自身が傷つきたくないんじゃないか』ってそう言った…でもねそれは…キミが傷つくことで…『闇』に『堕ちて』…そうして周りのみんなも傷付ける…それをキミは恐れてるんじゃないかって…そう僕は思ったんだ…」
 コムイさんが気遣うような優しい声音で言う…
 「…僕は…僕は…違う…そんなんじゃ……」
 その『言葉』に…僕は首をフルリ、フルリと左右に振ってそう言った。

                                       ―続く―