「……アレンくん…確かにさっき僕は『キミ自身が傷つきたくないんじゃないか』ってそう言った…でもねそれは…キミが傷つくことで…『闇』に『堕ちて』…そうして周りのみんなも傷付ける…それをキミは恐れてるんじゃないかって…そう僕は思ったんだ…」
 僕はアレンくんをジッと見据えてそう告げる。
 「…僕は…僕は…違う…そんなんじゃ……」
 僕の『言葉』にアレンくんは目に涙を滲ませ、フルリフルリと首を左右に振る。

 …アレンくん…キミの自己評価は恐ろしく低いんだね…
 …だからキミは怖れてる…

 …それはやっぱりキミの『過去』に起因してるんだろう…けど…

 「…アレンくん…僕は…やっぱりキミは『強い』と思うよ…だってキミは…キミ自身の『弱さ』を知っている。そして『それ』から『逃げる』のではなく向き合う為に…最初は単独行動を望んだ。そうでしょ?」
 にっこりとそう言って…
 「…ただ…いまキミは不安定になっているから…だから『話し』をしている内に…少し『闇』が深くなってしまったみたいだけど…でもそれは…アレンくん…一時的なモノだよ…もうちょっと経って…落ち着けばキミならすぐに『元に戻れる』…だから心配いらないよ」
 僕はアレンくんに笑いかけた…


 
―『種』と『ノア』―
              ―18―
  

 
 「…ただ…いまキミは不安定になっているから…だから『話し』をしている内に…少し『闇』が深くなってしまったみたいだけど…でもそれは…アレンくん…一時的なモノだよ…もうちょっと経って…落ち着けばキミならすぐに『元に戻れる』…だから心配いらないよ」
 コムイさんがそう言って穏やかににっこりと微笑む。
 「…でも…っ…僕はっ…」
 コムイさんの『言葉』と笑みに僕は困惑する。
 困惑して俯き…
 …確かに言われてみれば…僕は最初…『どんなつもりでノックした』のか…もうそれも解らなくなってる…
 …でもそれなら…そんな簡単に不安定になるんじゃやっぱり危険なんじゃ…
 そう思い…それを言おうと…
 「…っコムイさんっ…」
 俯いていた顔を上げてそう言った時…
 「…ストップ…アレンくん…」
 そう言って目の前に手を突き出されて制される。
 「…さっきも言ったけど…『それ』は『一時的』なモノだよ…だから…そんなに『自分』を責めて追い詰めないで…クロスにも言われてる筈だよ、キミの悪い癖だってね…」
 そしてコムイさんは手を引っ込めると腕を組んでそう言った。
                                       ―続く―