「…さっきも言ったけど…『それ』は『一時的』なモノだよ…だから…そんなに『自分』を責めて追い詰めないで…クロスにも言われてる筈だよ、キミの悪い癖だってね…」
 そしてコムイさんは手を引っ込めると腕を組んでそう言った。


 
―『種』と『ノア』―
              ―19―
  


 ―『僕の悪い癖』…
 言われた『言葉』に僕は目を見開く…

 ―『全部自分で抱え込んで、自分を責めて、自分を呪う…『お前』の悪い癖だ、アレン』…
 そうして思い出す…確かに再三に渡って…僕は師匠に言われていたと…

 ……でも…そうは言われてもやっぱり僕は怖い…

 …僕は…一度は『闇』に魅入られた『人間』…
 …この魂には…『伯爵との契約』の『証』である『種』が根付いてる…
 …そう…まるで『烙印』の様に…

 …そして『あの時』…ロードと会った『あの時』っ…
 …僕は…妙にザワザワと…

 …変な…妙な…感じが…した…

 ―…そしてそれは…伯爵と出会った時も……

 「……ノアの一族…」
 ポツリと僕は呟いて…

 ……『あの感覚』は…やっぱりノアに出会ったから…?…
 …僕の内(なか)の『種』にノアが『何か』をしたのか…?…
 
 …それとも……
  
 「…アレンくん…キミは今…ノアに出会ったり…他にも色々あって…それが切っ掛けでちょっと不安定になってるだけだよ…」
 ポツリと呟いたきり…また再び僕は沈黙し考え込んでいると…そうコムイさんが言って…その声にいつの間にか俯いていた顔を上げてそちらを見れば…
 「…ティムの『記録(メモリー)』を見たよ…辛かったね…」
 そう言ってコムイさんが穏やかに優しく微笑い掛けてくれた…

                                       ―続く―

 ―あとがき―
 …よ…漸く…ブログに載せた『種』と『ノア』の『エピソード予告抜粋駄文』掲載部分を全部書けました。
 …と言っても…まだ終わってないんですが…

 …でもここまでくれば後もうちょっとです…

                             ―それではまたの機会に―RIN―