―…思いだした…マナと師匠の言葉…

 ―「立ち止まるな」「歩き続けろ」―

 ―…マナがいつも言ってた言葉…

 …「『光』と『闇』を『意識』しろ」… 

 ―…師匠が…『種』に呑まれないようにと僕に言ってくれた言葉…

 …それを思いだして…僕は深呼吸する。

 …いまも恐いのは代わらない…でも…それで一杯になっちゃいけない…
 …『恐い』と言う『闇』に振り回されちゃいけない…
 …僕は『なんで恐がってた?』…その『答え』…その『理由』こそ…『僕の光』…


 
―『種』と『ノア』―
              ―8―
  


 「…それで…外したとして…アレンくんはどうするつもりだい?」
 「…もし許されるのなら…師匠を捜しに行きたいと思います…それが駄目なら…『教団』に戻って自室で落ち着くまで謹慎させて下さい…」
 コムイさんの問いに僕は顔を上げそして深呼吸するとそう答える。 
 「…いま…みんなと一緒にいるのは危険なんです。僕じゃなくて…みんなが…」
 ……そう…本当に恐かったのは…みんなを僕が傷付ける事…
 「…今のままの状態で『任務』について…もし…僕が『闇』に堕ちたら……」
 そう言ってゴクリと僕は唾を呑み込む。
 
 ―『種』は『伯爵』との『契約』の『徴』…『魂』を『伯爵』に『売り渡した』人間の『証』…

 ……僕の内には…未だにその『種』がある…
 …師匠にもどうすることもできなかった…

 「…『闇』に堕ちた『人間』は…伯爵の下僕のようなモノです…」
 …そう…『エクソシスト』だからって…『絶対』に『安全』だなんて師匠は言わなかった…
 …だから…『ヤツら』に『見られるな』『気付かれるな』そう言ったんだ…
 …なのに僕は…今回ノアの前で『闇』に堕ちそうになった…
 …挙げ句…リナリーに酷いことを言って傷付けた…

 …今回は『言葉』だった…けれど次ぎは…?…
 …『次ぎ』は…本当に傷付けるかも知れない…

 …『次ぎ』にもし『堕ちたら』……

 「…僕は…僕が…みんなを…仲間を傷つけるかも知れない…そんなの嫌なんです」

 …だから……
 …僕が『正気』を保てている内に…
 「…師匠を捜しに行かせて下さい…」
 …師匠に会えば…なんとかなる…
 …一人でなら…きっと…『誰』も傷付けずに済む…

 ―……ダカラ…キット…ボクモ…キズツカナイ……―

                                       ―続く―