「…師匠を捜しに行かせて下さい…」
 そう言って僕を見ていたアレンくんの瞳が不意に陰る…その瞳から…光が失せていく… 「…っ!アレンくんっ!」
 アレンくんの様子に僕は『マズイッ!』と思い慌てて彼の名を呼び、肩を揺さぶった。  

 
―『種』と『ノア』―
              ―9―
 


 「…っ!アレンくんっ!」
 ハッ!
 焦りを含んだコムイさんの声が僕を呼んだ。
 ……ア…レ…?…ぼ…く…?…
 「…アレンくん…クロスに会いに行くなんて…口にするだけでそんなに青くなってるのに一人でなんて無理だよ」
 にっこり笑ってコムイさんが言い茶目っ気たっぷりに片目を瞑りウインクしてみせる。
 「……コムイさん…でも…僕…」
 …いまのは…違うような気がする…確かに師匠の事は考えてた…でも…なんか…ボーっとしてはっきりしない…わからない…やっぱり…僕は…
 そう思って言い募ろうとすると…
 「ストップ」
 コムイさんに片手で制止され…
 「…アレンくん…キミが『何を』言いたいのかは解ってる…でも…」
 まっすぐに僕を見つめてコムイさんが言う。
 「…『一人』でなら『仲間』を傷つけずに済むかも知れない。そう思ってるのかい?」
 真剣でそして怜悧な眼差しで…
 そんなコムイさんに気圧され…僕はゴクリと唾を呑み込み…
 …「そうです」…そう言おうとした時…
 「…もしそうなら…それは大きな勘違いだよアレンくん」
 口を開き掛けた僕の『言葉』を遮る形でコムイさんは厳しい口調でそう言った。

                                       ―続く―