…『私』の『大切』な『二人』が…互いに争いあっている…

 …『幸福に満ちたあの時間』…それを取り戻したい…

 …私達三人の願いは…間違いなく同じだった…

 …最初は…ただ…それだけだった…

 …でも…いつのまにか…

 …私達は間違いなく愛しあっていた…

 …なのに…何故こんな終焉(おわり)をむかえることとなってしまったのか…


 ―…遠き日の想い…―
          ―1―
 

 
 「……無…事…?…」
 …『貴方達』の『笑顔』が『私』の『宝物』でした…
 「…なんでっ!なんでっ!こんなことにっ!!」
 …なのに…いま…二人が泣いている…
 「……何故…何故…貴女は…」
 …どうか泣かないで…
 「…何故?…何故だと!?お前がっ!!お前が『それ』でっ!!!」
 …どうか…もう争わないで…
 「…俺は…ただ…お前を…」
 …昔は…あんなに…仲が良かったのだから…
 「巫山戯るなっ!!…許さない…私は…お前を…そして…私から彼女を取り上げた総ての存在(もの)をっ!!!」
 …もう…止めて…
 「私と彼女の邪魔をする総ての存在(もの)をっ!!!」
 …そんなことを…言わないで…
 「必ずっ!滅ぼし尽くしてやるっ!!」
 …ああ…声が…もう…出ていない…
 「…ならば…俺がお前を止める…世界の滅びなど彼女は望まない…お前を殺してでもお前を止めて…そして俺が必ず『彼女』を『運命』から解放する…お前とはまったく違う遣り方で…」
 …すべての『罪』は『私』にある…
 …『私』にもっと…『勇気』があったなら…
 …きっと…こんなことには…

 …愛するもの達に…守られてばかりだった『私』…
 …『私』がもっと強かったら…

 …強かったら…

 …今度は…『私』が…二人を…

 …ふたりを…

 …その想いが…無意識のうちに…彼女自身に魔法をかける…

                                            ―続く―