…望んでいたのは…紛れもなく『同じモノ』のはずだった…

 …だが…『あいつ』が選んだ方法は『自分』とは正反対の方法…

 …恐らく簡単で手っ取り早いのは『そちら』だっただろう…
 
 …それは『俺』も認めよう…

 …だがその方法では『彼女』は喜ばない…

 …そんな方法で救われることを『彼女』は望まない…

 …そんなことは『あいつ』も解ってはいるだろう…

 …だが…それでも『あの男』は選んだ…

 …その『狂気』に満ちた『方法』を…

 …より確実なその『方法』を…

 …それは…間違いなく…愛ゆえだった…


 
―…遠き日の想い…―
            ―2―
 


 …『彼女』を愛している…
 …だからこそ望むのは『彼女』の『笑顔』…
 …『彼女』の『幸福』…

 …『彼女』が『自分達』の『それ』を望んでいたように…
 …『俺』もまた…『それ』は『同じ』…

 …だから…トチ狂った『馬鹿』を止めてやるのが…親友(とも)として…兄弟としての義務だと思った…

 …彼女は望みはしないだろう…俺達二人が争うことを…
 …それは解ってはいた…
 …だが…『あいつ』を止めるのは俺じゃないといけない…そう思った…

 …それが…あんな結果を引き起こすなんて…

 …正直…『彼女』を甘くみていた…

 …あんな想いはもう二度とごめんだと思った…

 …同時にチャンスだとも思った…

 …巧くすれば…『彼女』を『運命』から逃れさせられるかもと…

 …だから…『彼女』と『あいつ』と『俺』自身の『魂』に…『呪い』をかけた…

                                            ―続く―