「…それは…日向が…ヒアシ殿が『いつき』に負い目を感じているという意味だと思います…」

 …俺のこの言葉に、紅先生は僅かに目を見張る…
 …予想外のことに動揺を隠し切れなかったんだろう…

 …もっとも…さっきから動揺しっぱなしのどっかのバカよりは、余程マシだと思うけれど…


 
虎の穴―17―


 「…負い目?あの日向宗家が?」
 私にとってそれは予想外の事だった…
 …いつでも厳格で毅然としている…あの誇り高い日向当主が…
 「…そう…原因は現在『いつき』家に現当主及び次期当主候補が不在のため…」
 うずまきが嘆息を吐いてそう言う…
 「…当主が不在?そんなことが?しかしそれはいつき家の事情で日向は関係ないんじゃ?」
 …名家の当主が不在…それは本来あっていいことではない…
 …たとえそれほど名の知られていない一族だとしても…
 …それにどうしてそれが日向当主の負い目の原因になるの?
 …と…そこまで考えて…ある可能性が頭を過ぎる…
 …うずまきは確かさっき…
 …『現在』は『不在』…そう言った…
 …そして…
 「…まさか……うずまき!確かさっき日向と縁戚関係にあると言っていたわねっ!」
 …一番近い縁戚関係…
 「…そう…そのまさか…紅先生…『いつき』家の当主候補は『現在』は『不在』俺はそう言ったけど…十数年前は事情が違った…当時は『いつき』家に当主はいたし、いくつかある『分家』に次期当主候補達もいた…ただ当時の『いつき』当主は代替わりしたばかりでまだ若かく、隠居した先代もいた、だから当分代替わりの必要は無いだろうと言うことになって『候補者達』はそれぞれ他家へと嫁いだ、その一人に、俺の母様とそして…ヒアシ殿の現奥方…つまりヒナタの母親がいたんだ…」
 …そんな…まさかと思ったけれど…
 「…そして…他家に嫁ぎ『いつき』家から出た者からは、その資格は失われるんだ…」
 …付け足すようにうずまきはぽつりと呟いた…
 「…でも…確か…ヒナタの母親は…」
 …でも…それなら…

 …説明はつく…

 …たった一つの矛盾を残して…

                                  ―続く―

 ―あとがき―
 こんにちは、お久し振りです、RINです。
 随分お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。
 …現在色々あってHPへの更新作業がなかなか出来ない状態が続いている為、なかなか思うように更新が出来なくなっており、その為皆様方にはご迷惑を掛けております。
 申し訳ありません。

 そして浜口篤子様。本当に長らくお待たせしてしまいました。
 本当に申し訳ありませんでした<(_ _)>
 
 …ちなみに前回長くなったからと途中で切りましたが…
 …紅の疑問解決編…終わりませんでした…
 …済みません…次回こそ終わります…
 …上忍編については…延びてしまいましたが…後2話か3話で終わると思います…
 …その後で…プラスアルファの『カカシ体育館裏呼び出し編』を書きたいと思います。
 
 …それではもう暫くお待ち下さい…

                        ―それではまたの機会に―RIN―