……オレ…ナルトのそんな笑顔(カオ)…知らないヨ……

 「…ユイって呼んでいいよ…紅先生とイルカ先生は…じいちゃんが付けてくれた『特別』な『名前』だけど…俺先生達好きだから…」
 …そう言いながらナルトは微笑んだ…
 …とても綺麗に…
 …ねぇ…ナルト…
 「…ナルト…オレは…」
 …オレはダメなの?…
 「……オマエはダメ…」
 …ドウシテ?…
 「…諦めろよ…カカシ…おまえは…」
 …アスマがなにか言ってる…でも…そんなの知らない…
 「…ッ!熊はだまっててよッ!」
 …オレの肩におかれたアスマの手をオレは振り払う…
 「…カカシ…アスマに当たるなッ!」 
 ナルトがそう言ってオレを睨む。
 …そして次にアスマの方を見る…
 「…アスマ…アスマも…余計なことを言うなっ!……あのコトは…俺が自分で…カカシに…っ『教える』から…」
 …どこか少し辛そうに…
 …アスマを見て…
 …そして少しだけ…
 …その辛そうな…視線を一瞬だったけど…確かにオレに向けた…
 …そして…向けられて気付いた…
 …ナルトが…いまにも泣きそうな表情(かお)をしているコトに…
 …ねぇ…ナルト…どうしたの?…
 …いったいどうしてそんなカオをしているの?…
 …マイゴになって…途方に暮れた…コドモの様なカオを…
 …どうしてしているの?…ナルト?…
 ………らしく…ないヨ?…

 ……オレ…ナルトのそんな表情(カオ)…知らないヨ……
 

 
虎の穴―19― 


 ―…フウ…と息を吐いて、ナルトは頭を振った…
 「…とにかく…そう言った事情が重なって…これまでは俺のことは秘密だったんだが…」
 「!ちょっ!ナルトッ!それじゃあ…」
 …さっきまで…何故だか打ちひしがれていた筈のカカシが…いきなり復活して…凄い勢いでそう言った…
 …なんというか…まあ…タフなヤツだ…
 「…別にいきなり『うずまきナルト』が『四代目の息子』だなんて公表しやしない…なんのための『二重戸籍』だと思ってるんだオマエは…あくまで上層部と上忍の極一部だけに『四代目の妻子』が『生きている』ということだけを明らかにするだけだ…最重要機密としてな…」
 …珍しくカカシのヤツが察したな…
 …が…だがまだ読みが甘いよな…
 「…勿論…将来的には『うずまきナルト』が『四代目の息子』だと公表することになってる…今度のことはその…いわば第一段階の様なもので…ばあちゃんが…気を遣ってくれたんだ…近い将来『公表』することが決まった以上…『正式な発表』をしていなくても、どこから『噂』になるか判らない…なにしろ『四代目』が『金髪碧眼』だったのは有名だからな…だから…そういう不確定な『噂』が流れる可能性がある以上…そんなことになる前に俺の口から先生達に言った方がいいんじゃないかと…気を回して先生達を残したんだろ…ばあちゃん…」
 …どこか他人事の様に淡々と言い…ばあちゃんを俺は睨む…
 「…まあ…そうなるね…」
 …ばあちゃんが明後日の方向を向いてそう言った…
 「…そういうわけでコイツは暗部に所属している…今回の『計画』のことも…コイツに任せているから、解らないことはわたしよりコイツに聞きなっ!」
 「えっ!じゃあナルトv退院しても修行には行かないの?」
 ばあちゃんの言葉にカカシが飛び跳ねる様に聞く… 
 「…ああ…『自来也との修行』にはな…だが…『うずまきナルト』は行くからな…そこらへん…間違えるなよ」
 …そう言ってカカシに念を押す…
 「…ああそれと…例の『計画』については…アスマと紅先生はこれから部下に『合宿』のこと連絡して、向かって…場所は…アスマが知ってるから…イルカ先生は…シズネ姉ちゃんと…それでカカシは…そろそろガイ先生の急ぎの任務が終わった頃だと思うから…合流して…日向家に向かえ…いいな…それじゃあ…俺つぎの任務…あるから…」
 …そう言うと俺は瞬身でその場から立ち去った…
 …やらなければいけないことはたくさんあるから…

 …だから…この後のことは知らない…
 …大体の予想はつくけど…
 …ばあちゃんもアスマも…おせっかいだ…

 …でも…
 …ホントはわかってる…
 …いつまでも…逃げてちゃいけないんだってことは…

                                  ―続く―

 ―あとがき―
 お久し振りです、RINです。

 浜口篤子様、遅くなってしまい申し訳ありませんでした<(_ _)>
 予定よりかなり遅れてしまいましたが、『上忍編』はこれで終了です。
 次回からは『下忍編』になりますが…別に下忍にはバラしません…
 …ただ…何人かに関しては…他のバレネタ(バラシネタ?)とのリンクはありますが…
 …それと以前から話のあった『おまけ』については…あるエピソードを書いてからUPします。

                                  ―それではまたの機会に―RIN―