「…ごめん…ばあちゃん…失敗した…サスケ(あいつ)…連れ戻せなかった…」
 …悲痛な声でナルトは言った…
 「…俺…できなかった…」
 …絞り出すように…
 「…出来ると…思ってた…でも…」
 …辛そうに…
 「…無理だった…」
 
 …一瞬の沈黙…

 「…俺…俺も忍…失格だ…あいつのこと言えねぇや…」
 …困ったように…微かに微笑って…
 「…『任務』に私情…挟んじまった…」

 …そんな…ナルトを…綱手は優しげに見つめ…
 「…ナリ…私は言った筈だよ…『それ』はやらなくていいと」
 …そう言った…


 
虎の穴―21― 


 「あっ!そうです!アスマ上忍!サクラはどうなるんですか!?それにナルトはっ!?大体あいつは入院中の筈ですよねっ!?…でもナルトはホントは強くて暗部でってことは…じゃあ…『サスケの任務』!あれはっ…」
 …凄まじい勢いで…イルカはアスマに詰め寄った…
 「…あー…それは…」
 アスマの目が微かに宙を泳ぎ…最後に綱手を見る…
 …困りました…どうしましょう…と云うように…
 …その様子に綱手は…フウと息を吐き…
 …しょうがないね…そう微かに呟いて、口を開いた… 
 「…イルカ…その件に関しては…あいつを責めないでやっておくれ…」
 …綱手のその言葉に…イルカが慌ててアスマから離れ…
 「…五代目…」
 …綱手の方を振り向く…
 「…『説得が無理なら、無理矢理には連れ戻さなくていい』と、私があの子に言ったんだ」
 「!なっ!何故です!!」
 綱手の言葉にイルカが目を見開くっ!
 「…イルカ…説得に失敗した状態で、無理矢理連れ戻す…そうしたら、サスケは『どうなる』と思う?」
 「…えっ…」
 …逆に問い返されてイルカは戸惑う…
 「…記憶操作…人格操作…マインド・コントロール…洗脳……よくて…呪印と一生監視付きの幽閉か軟禁…こんなトコっすよね…」
 …戸惑うイルカを余所に…淡々とアスマが言う…
 「…ま…まさか…そんな…」
 …アスマの言葉にイルカが動揺する…
 「…抜け忍は…本来…即抹殺が普通だ…」
 …綱手が言う…
 「…今回だって…もう少しで『抹殺』になるところだった…」
 …重々しく…
 「…正直…動かせる暗部が全て出払っていたからこそ、退けることが出来たんだ」
 「…あいつも含めてな…」
 「…ナルトは…いなかったんですか?」
 …綱手の言葉に…イルカはえっ?と思い聞く…
 「…ああ…シカマル達と任務に出たのは『影分身』だ…その後『任務』から帰ってきたあいつは後から向かった…結果は…『下忍』のあいつは説得に失敗…そして…『暗部』としてのあいつは…『…無理だった…』…そう言ったよ…本当に辛そうに…」
 「…あんなあいつは初めて見たよ…」
 …そう複雑そうに綱手は言った…

                                            ―続く―
 ―あとがき―
 どうもRINです。
 『虎の穴』第21話です。
 
 浜口篤子様、お元気ですか?
 現在は、なんとか予定通りに書けております。
 更新停滞中に遅れた予定分は、近日中に大急ぎでUPしていきたいと、思っております。
 
 ―さて次回は…
 …今回に収まらなかった、残りの部分と…執務室を追い出されたカカシについてちょっと書ければ書こうと思っております…(…と言っても…スペースがあればですが…)

                                            ―それではまたの機会に―RIN―