……あの子のあんな表情(カオ)は……
……ほんとうに……
「…無理矢理里に連れ戻す…それが…事実上『サスケを殺す』というコトに繋がる行為に他ならないと言うことを…あの子はよく識っていたから…」
…そう…誰よりも…
…『遺継(おくつぎ)』…『奥継(おくつぎ)』…であるが故に…
「…じゃあ…ナルトは…」
…イルカはあまりのことに動揺しながらも…言葉を絞り出す…
「…失いたくないと…思ったんだ…あの子は…」
…だからこそ…あの子は…九尾の力まで使って…サスケを瀕死の状態にまで追い込んだ…
…少しでも…時間を稼ぐ為に…
…音に潜入させていた…部下の影分身からの情報で…
…大蛇丸がかなり追い詰められていたことを…
…あいつは知っていたから…
虎の穴―22―
「…あー…ヤダなー…なんでよりによってガイと…」
…ブツブツとぼやきながら…カカシはダラダラとアカデミーの廊下を歩いていた…
「…ツイナは無理でも…せめて…ナルトとだったらなー…(…この際…影分身でも…)…でも…ナルトまだ入院中だし…」
…はあ…と大きく溜め息を吐いたその時だった…
「…オレがなんだってば?」
「…だからー…オレはガイなんかとじゃなくて…ナルトと任務したいなーって…って!…いまっ!『てば』って!!」
…不意に背後から投げかけられたその言葉に…それほど気にせず…独り言を続けかけて…気が付き…慌てて振り向くと、其処にはカカシの見慣れた黄色い子供…
「…ナ…ナルト…」
…てっきり今日はもう会えないと思っていたので…カカシは感激する…
「なんだってば?」
…そう言ってにっこり笑顔を浮かべた、ナルトのその笑顔に、普段のカカシだったら驚喜しただろう…
…だが…この時カカシは見てしまった…そして…気が付いてしまった…
…ナルトの口唇(くち)が…
[…テメェ!なにこんなトコで俺の名前出してんだよっ!!]
…と動いたのを…
―続く―
―あとがき―
どうもこんにちは、RINです。
浜口篤子様、『虎の穴』第22話なんとか予定通りに書き上がりました。
次回は上旬か…遅くとも中旬にはUPしたいと思っております。
…それと既に恒例となりました、次回予告ですが…
…次回は…今回本文部に持ってきましたカカシのエピソードの続きになります…
…任務に行った筈の…そして表向きは入院中である筈の『ナルト』の突然の出現!
…その理由と…そして出来れば以前張った伏線をここで回収致したく思っております。
―それではまたの機会に―RIN―