…サクラはその日その時間…師である綱手から自習をするように言われていたので…先日綱手から渡された新しい医学書を懸命に読み耽っていた…
…辞書や他の参考書籍…そしてメモ用の白紙の巻物を机の上に置き…鉛筆を片手に…サクラは書物を穴があく程睨み付ける…
…とそこにコンコンと軽やかなノックの音…
…だが…その音にサクラは気付かない…
…気付かない程…サクラは集中していた…
虎の穴―23―
「…ナ…ナルト…な…なんでこんな…確か入院して…」
…カカシは慌てた…それはもう…見苦しい程に…
「オレってば!さっき外泊許可がおりたんだってばっ!これからばあちゃんに言われてサクラちゃんのトコに行くんだってばっ!!」
…腕を振り上げ、そして振り回して、嬉しそうな笑顔を浮かべ『ナルト』は言う…
…だが…やはり…『ナルト』の口唇(くち)は全く異なる動きをしていた…
[…カカシ…なんだ?その態度…『それ』が上忍が、仮にもドベ…それも担当の下忍に対する態度か?ァア?]
…カカシは内心蒼白になりながらも…なんとか表面上は取り繕い…
「…そうかー…だいぶよくなったんだなー…よかったな…」
…なんとかそう言った…
「オウ!オレってば火影になる男!いつまでものんびりベッドの上なんかにいられないってばよ!」
…ガッツポーズをして言うその様子は、知らない者が見たら頬笑ましい光景に見えただろうが…
[…カカシ…ククッ…運が良かったな…『俺』が『ドベの』…それも影分身の『ナルト』で…]
…ナルトの本性を知っており…そして読唇術のでき…しかも最後にナルトが、ニヤリと嗤ったのを見てしまったカカシには、いくらなんでももうナルトがカワイイvなどと悦んでいるどころではなく、内心ガクガクと震えているカカシの様子にナルトはクッと口の右端を僅かに上げて…
「…それじゃあーな…カカシセンセイ…」
…そう言って片手を軽く振って…その場を軽快に走り去って行った…
―続く―
―あとがき―
お久し振りです、RINです。
予定より遅くなってしまいました、申し訳ありません<(_ _)>
…8月に入ってすぐに…RINはまた風邪をひいておりました…
…皆様もどうぞお体にはお気をつけ下さい。
浜口篤子様、上記の様な理由で遅れてしまいましたが、なにはともあれ『虎の穴』第23話書き上がりました。
次回第24話については近日中…遅くとも8月中にはUP致したく思っております。
…次回は今回冒頭でも登場しましたが、サクラちゃんの登場となります…
…これで漸く本格的に下忍編へと入っていくことになります…(…お待たせ致しました…申し訳ありません…)
―それではまたの機会に―RIN―