…誰かが口を開いた…

 「…うずまき…ナルト?…あれうずまきナルトだったよな…」
 「…聞き間違いじゃ…」
 「…そんな…いくら『九尾の器』でも…」
 「…有り得ない…」
 「…だって…あの場所は…」

 …その場にいる者達は皆分かっていた…
 『検査室10001』
 そんな場所は存在しないと言うことを…
 …それは…
 …それを解る存在達の為の…

 …『合図』であり…同時に『暗号』であったから…

 「…騒いでないで向かった方がいいんじゃないか?」
 小声で口々に顔見知りの者と言い合う『彼等』に、一人だけ冷静だったその男が口を開いた…
 「ゆいけい隊長からの伝言だ『大切な話があるから、遅れたら…』…ああ…どうやら向かったようだな…」
 …そう言って周りを見回す…
 「…では私も行くか…」
 …そう言ったその瞬間には…
 …その場所には…もう誰もいなかった…

 
 
虎の穴―27―


 「…ようやく終わったが…一体なんの検査だったのか、結局解らなかったな…」
 結局なんの検査だったのか…
 …見たこともない計器や複雑な術式…専門用語の数々に…受けていれば何れ解るだろうと思っていた検査の目的や内容は全く解らず…ネジは自分の未熟を痛感し嘆息を吐く…
 「ネジ!ネジも終わっていたんですか!」
 「リーか、ああいま終わって出て来たところだ、おまえもどうやら終わったところの様だな」
 「ええ!僕もいま終わったところです!」
 「そうか…ではナルトもそろそろかもしれないな…」
 「解りませんよ、ナルト君はどうか知りませんが、チョウジ君は一緒の検査室だったんですが…彼は僕より少し早く終わって出ていきましたから」
 「…そうか…(無駄かも知れないが)リーおまえはどんな検査だったんだ?」
 「え?検査ですか?…それが難しすぎてよく分からなくて…」
 …やっぱり無駄だったか…
 「…そうか…」
 「でもどうしてそんなこと聞くんですか?」
 「いや深い意味はないんだが、今朝から気になっていたからな…」
 「そうですね、急でしたからね、そう言えばネジは解ったんですか?」
 「いや、あまりに専門的過ぎてな…まるで解らなかったよ…だからこそ余計気になったんだが…だがいつまでもここにいても仕方ないしな…そろそろ行くか…」
 「そうですね」
 そう言って二人は歩いて行った…

                                  ―続く―
 ―あとがき―
 こんにちは、RINです。今回久し振りに予定通りに書けました。
 嗚呼良かったと胸を撫で下ろしております。

 そう言うわけで、浜口篤子様、『虎の穴』第27話駄文ですが、お納め下さい。
 今回は気が付いたら、殆ど会話文だらけでした…ダメですね…精進が足りない…アウ…
 冒頭は前回の続きで…これ以後は当分この続きは書きません…
 そして本文の方ですが、大体これが時間的にサクラとナルトのエピソードの次ぎにあたります。
 次回は漸くナルト・サクラとネジ・リーそして今回は出ませんでしたが、チョウジが合流します。

                             ―それではまたの機会に―RIN―