…扉の向こうが騒々しい…
 …微かに聞こえるその声は知り合いの声のようだが…
 …この場にはいない筈の人物の声でもあり…
 僅かに疑問を感じながら…隣にいる同班の仲間と顔を見合わせ…互いに疑問を口にする…


 
虎の穴―30―


 「あっ!ネジ!リー!いま終わったとこだってば?」
 待合室へと入ってきたネジとリーに『オレ』は声を掛けた。
 「ああどうやらおまえ達の方が少し早かったようだな」
 ネジが頷いて、そして『オレ』とチョウジの方を見て言う。
 その言葉に『オレ』が答えるより早く、チョウジが頷き…
 「うん僕はね、でもナルトはもっとまえだったみたいだよ、だってさっきサクラと二人でなんだか騒ぎながら入って来たから」
 …そうしてチョウジは検査室への扉や病棟へと続く入り口ではなく、研究棟へと続く、通常一般患者は入れない『関係者以外立入禁止』と書かれた『プレート』のある『扉』を指差して…
 …そして次いで言った…
 「だからナルト、何か特別な用があるんじゃないの?」
 そうにっこりと笑って…
 …チョウジのその言葉に…『俺』は正直助かった…
 …なにしろ『ドベのオレ』だと、なかなか話が進まないのだ…
 …だが…シカマルかチョウジこのどちらかがいると随分話が違う…
 二人は『ドベのオレ』との付き合いがなんだかんだ言って長い…
 …そしてカンが良く、察しもいい…
 …だから…こういう時『ドベのオレ』が脇道にそれないように、何気なくフォローしてくれる…
 『俺』が『演技』をしているという事も知らないこの二人に『俺』は随分助けられている…
 …だから今回かなり無理をしてチョウジがここにいるようにした…
 …本当なら…この時間にここにいなかった筈のチョウジ…
 …色々裏から根回しをして…どうやらそれらは巧く機能したようだ…
 協力してくれた者達にも心の中で感謝して…
 …後で改めて礼を言おうと思う…
 …思いながらも内心は一切おくびにも出さず、口を開く… 
 「オレ達全員久し振りに任務だってばよ!アカデミー前に集合するようにばあちゃんから伝言だってばよ!」
 …『ドベの演技』をしているゆえの…これ以上の変な脱線もなく伝えられて良かったと思う…
 …正直かなりサクラがコワイ状態になっていたのだ…

 …まあ…俺がわざとやったんだけど…
 …正直…苦笑するしかない…
 
 …そうして…全員でアカデミー前を目指すことにする…

 …詳しいことは行きながら聞くと…誰かが言って…皆が頷いた…

                                       ―続く―

 ―あとがき―

 お久し振りですRINです。
 またも長らくお待たせしてしまいました、そしてまたも予告通りに書けませんでした。 申し訳ありません。
 一度ペースが崩れるとなかなか上手く行きません。

 それでは兎に角書き上がりましたこの『虎の穴』第30話浜口篤子様に捧げさせて頂きます。
 
 ―次回は他の下忍ルーキーズへと話が移ります。

                                  ―それではまたの機会に―RIN―