「…ア…アレン…いま…何したさ?…」
 …アレン…お前…
 「…さっきから…なんで…返事しないさ?…」
 …返事をしてくれよ…アレン…
 「…なんで…ティキ・ミックは…大人しく刺されたさ?…」
 …知りませんよそんなこと…
 …そう言ってくれ…アレン…さっきみたいに…
 「…なんで…黙ってるさ?…」
 …アレン…なんか言ってくれ…いつもみたいに…
 「…さっき…ティキ・ミック…刺した時に言ってたのは…『あれ』は…どういう『意味』さ?…」
 …アレン…聞き違いだよな…『あれ』は…
 「…お前が…あんなこと…言うわけない…よな?…」
 …頼むから…言ってくれ…笑ってくれ…空耳だって…
 「…アレンッ!!」
 …頼むから…こっちを向いて…笑い飛ばしてくれ…夢でも見たんだろうって…

 …頼むから…


 
運命の分岐(わかれみち)
           ―第1章―
              ―第3話―



 ―…リナリー…ラビ…ごめん…いまの…僕には…君達に応える…資格は…

 …ごめん…

 …微かに…口を動かす…

 …そして…

 …左手を上げて…『ある処』を…指差す…

 「…いま『塔』の崩壊は停まっています…時間軸そのものが一時停止していますから…その瓦礫はもう重くない筈ですよチャオジー…」
 …僕は…淡々と言う…
 「?へ?…あっ…ホントッス…あっ…力…抜けたっス…でも…どうして…」
 …一瞬不思議そうな表情(かお)を浮かべ…僕の言葉で…『それ』を自覚した途端…力が抜けたらしく…その場にへたり込んでしまう…
 「…この先に…『仮設』ですが…『出口』があります…神田とクロウリーも其処にいると思います…ですから…早くここから出て行って下さい…この『一時停止』はあくまで『一時』ですから…」
 「…な…なにを…」
 …みんなが訝しげな顔をする…当然だな…
 …だって…こんなことを…僕が知ってるなんて…変だ…
 …そう思うと…苦笑が…漏れる…
 「…ラビ…リナリー…チャオジー…神田とクロウリーをよろしくお願いします…僕は…ここで…お別れです…」
 「…な…なに言うさっ!アレン!」
 「…なんなんスか?さっきから…なんか…様子が…変っスよ?…オレが…悪魔なんて言ったからッスか?…」
 「どうしちゃったの…アレンくん…」
 …みんなが…瞠目し…口々に言う…
 …なんでそんなことを言うんだと…
 「…ごめんなさい…さよならです…僕は…もう…みんなとは…いられない…その…資格が…ない…」
 …落ち着け…泣いちゃいけない…みんなが…気にする…行けなくなる…

                                            ―続く―