…僕が忘れているかっての『僕』…

 …7000年前の『記憶』…

 …『彼』が『千年伯爵』になった『理由(わけ)』…

 …『ノアの一族』が『魔』になった『理由(わけ)』…

 …そして…

 …『僕』の『アレン』の『本性』…

 …僕がこれらを忘れている限り…

 …僕が…現在(いま)の『アレン』である限り…

 …『鍵』の『覚醒』を遅らせることができる…

 …そう…

 …『ノアの一族』の『神(クラウン)』…

 …その『存在』を『覚醒』させる『鍵』の『覚醒』を…


 
運命の分岐(わかれみち)
           ―第2章―
              ―第10話―
  


 …『アレン・ウォーカー』の『人格』が『存在』する限り…
 …僕が『アレン』である以上…僕の意思で多少は遅らせることが出来る…
 …『鍵』の『覚醒(めざめ)』を…
 …そして…『鍵』が眠り続ける以上…『終焉』はこない…
 「…どういう…ことさ…」
 「…もういいでしょう…僕は殺されない…それは解った筈です…そして『終焉』も簡単にはこない…だから…もう行って下さい…これ以上を話せば…あなた達を千年公は見逃してはくれないかも知れない…だから…」
 …これ以上は話せない…話しすぎてしまったくらいなんだから…
 …だから僕のことは気にせず…
 「嫌よ!」
 …リナリーの悲鳴の様な声…
 「リナリー…」
 「アレンくんのバカ!前にも言ったでしょう!一人で抱え込まないでって!私達仲間なのよ!『あの時』言ったでしょ!『何度だって助けてやる』って!アレンくんが嫌って言っても無理矢理にでも『助けて』ここから一緒に出るんだからっ!」
 …うっ…ひっく…うっ…うう…
 「…だから…一人で悩まないで…」
 …そう言ってリナリーが…僕の胸を叩く…
 「…なっ…ん…悩まないでっ…ひっく…」
 …うっく…
 「…リナリー…」
 …ああ…君は…
 「…アレン…お前の負けさ…」
 「…ラビ…」
 「…リナリーはお前が一緒じゃないんなら『方舟』が崩壊しようがどうしようが、絶対に出て行かないさ…」
 ………
 「お前一人犠牲にして助かったって俺達は嬉しくないんさ…だから…」
 ……ああ…もう…
 「…解りました…」
 …目頭が熱い…
 「…一緒に『方舟』からでましょう…」
 …もう少し…もう少しだけ…みんなと…一緒にいたい…

 …喩えそれが…『罪』だとしても…


    ―終わり―

                             ―運命の分岐(わかれみち)―第2章―了―
                                            ―第3章に続く…