「!そんなっ!アレンくん!」
 リナリーが身を乗り出す…
 …ああ…怒ってるな…リナリー…仕方ないか…
 「…仕方なかったんですよ…僕は…自分が『何者』なのか知ってしまった…もうみんなといられない…だから…同じ事なら……分かったらさっさと行って下さい…別に僕だって殺されるわけじゃないんですから…」
 …そう…もう一緒にはいられない…それに変わりがないのなら…せめてみんなには…そう思ったんだ…
 「アレンくんっ!そんなの私達少しも嬉しくないっ!」
 「…分かってます…でも…仕方ないんです…」
 …これを知ったらリナリーが怒るだろうことは解ってた…だから…知られたく無かった…


 
運命の分岐(わかれみち)
           ―第2章―
              ―第9話―
  


 「…アレン…なんでそんなに…第一殺されないって…ノアはどう考えてもアレンを殺そうとしてたさっ!」
 「…さっきも言ったでしょ…『僕』は『不死』なんです…殺したってすぐに生き返る…『僕』に揺さぶりをかけて…『過去』を思い出させる為に、千年公は…ティキに渡したマナの関係者暗殺任務のリストに敢えて『僕』の『名前』を載せた…」
 …『僕』は『アレン』は…死なないんです…
 …『死ねないんです』…
 …心の中で…そう続ける…
 「…そんな…」
 「…解ったら…行って下さい…ノアは…千年公は…僕が…止めてみせますから…」
 …ああ…言わないでおこうと…そう思ってたのに…
 「…アレン…おまえ…」
 …ラビが目を見開く…
 「アレンくん!」
 …リナリーが怒鳴る…
 …一人で戦うつもりかと…そう言いたいんだろう…
 …でも…それは違う…
 …『僕』は『ノア』とは戦わない…戦えない…
 「…勘違いしないで下さい…一人で戦うわけじゃない…僕はもう戦えない…そう言ったでしょう…でも…いまの『僕』が『アレン』である限り…止めることくらいならできる…」
 …そう…僕が…僕である限り…
 
                                            ―続く―