「…まいった…リナリーにはまいったさー…俺も待つさ…アレンを…」
 …そう言って…ラビも『其処』に座った…

 「…バカじゃ…バカじゃないですか…あなた達は…」
 …白い雪の舞い散る…その空間で…アレンは黒い水面に映る『方舟』内部のその光景を見て涙を零し…
 …そしてキッと顔を上げ…
 「…やっぱり…行こう…」
 …そう言って…瞳を閉じる…

 ―そして…暗転…

 …アレンは起きあがり…扉を開けた…


 
運命の分岐(わかれみち)
           ―第2章―
              ―第6話―
 


 …リナリーはもう泣いてない…代わりに『何か』に耐えるように、ギュッと両手を握りしめて、アレンが歩いていった方を、唯ジッと見つめている…
 …チャオジーは…『何』を考えているのか分からないが、まだここにいる…
 …アレンがティキ・ミックを助けると言った時のあの剣幕から考えると、チャオジーはいまはアレンをどう思っているだろうか?…
 …ノアだとアレンが言った『あの時』には、冗談だろうと言っていたが…アレンは実際にもうこの場にいない…
 …アレンが戻ってくると…リナリーは信じてる…俺も信じたい…でも…
 …チャオジーは…どう思ってるんだろう…
 …考えてたって仕方ないさね…
 「…チャオジー…」
 「…え…ラビさん…」
 …声を掛けると、戸惑ったようにチャオジーはこちらを向いた…
 「…聞いてたと思うけど…俺とリナリーは、ここでアレンを待つ…『あれ』はなにか訳があったんだと信じて…でも…アレンが言ってた『出口』やユウやクロちゃんのことも気になる…だから…」
 …だから…そこまで言った時だった…
 「あっ!あのっ!俺っ…」
 チャオジーがそう声を上げた途端…
 ―キィン!
 …何か不可思議な感覚がしたと思った途端…
 ―ガクンッ!
 …唐突なその衝撃…
 ―ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
 「!なっ!これはっ!」
 「崩れだし…」
 …俺とチャオジーは口々にそう言い…

 …『方舟』の『崩壊』が再び始まった事を認識した…

                                            ―続く―