…もうちょっとだけ…もうちょっとだけ…
 …心の中でそう繰り返す…

 …ホントはずっと一緒にいたい…
 …でも…それはきっと許されない…

 …ああ…どうしたらいいのでしょうか?…


 
運命の分岐(わかれみち)
           ―第3章―
              ―第1話―
 


 「あー!漸く外に出られたさー!」
 そう言ってラビが背伸びをする。
 「…あの…リナリー…放して貰えませんか?…」
 リナリーがしっかりと僕の右手を捕まえて放さない…
 「嫌!」
 即答。
 リナリーは僕の顔を睨むように見てそう言った。
 …お…怒ってる……
 「…アレン…諦めろさー…当分リナリーはお前から離れないぞ…」
 …ラビにジト目で見られ…そう言われる…
 「……はあ…まあいいです…それより神田とクロウリーを早くミランダさんの…」
 所に連れて行かないと…そう言い掛けた時だった…
 「あー!アレンくん!アレンくん!無事!?無事なの!?誰…誰かの時間がっ…」
 そう叫びながら、ミランダさんが凄い勢いで泣きながら駆けてきた。
 「…おっ!…落ち着いて…ミランダさん…あの…神田とクロウリーがちょっと危険な感じですが…まだ息はしてますから…だから…」
 ミランダさんの凄まじい勢いに、圧されがちになりながらも、そう言う…
 「ほんとっ!?ほんとにっ!?誰も死んでないの!?」
 そう叫びながらミランダさんは、僕の肩を掴みガクガクと揺する…
 「……ほ…ほんと…で…す…だか…ら…早く…二人を…」
 …あ…ダメ…もうこれ以上は…
 「…ミ…ミランダ…落ち着くさ…アレンも結構ダメージ負ってるし…それ以上は…」
 …意識が遠のき掛けてきた時…ラビがそう言ってミランダさんを止めてくれた…
 …有り難う…ラビ…
 「…あっ!ああ!ごっ!ごめんなさい!アレンくん!」
 ラビの制止で正気を取り戻したらしいミランダさんは、そう言って僕に謝ってくれた。
 「いえ…気にしないで下さい、それより早く神田とクロウリーを…」
 そう片手を振って、気にしないでとジェスチャーで示し、そして神田とクロウリーに話題を戻す。
 「あっ!ああ!そうねっ!急がないとっ!それじゃあみんな集まって…」
 …まだ混乱してるらしい…ここに全員いるのに…
 「落ち着いて下さいミランダさん…ほら、みんなちゃんといますからっ…」
 「あ…そうね…ごめんなさい…じゃ…じゃあ……『イノセンス』『タイム・レコード発動』…」
 …そうして…『発動』したミランダさんのイノセンスによって…意識を失っていた神田とクロウリーは目を覚まし…僕達はその状態を回復した。

                                            ―続く―