…突如として姿を消したエクソシスト達…
 …それに続く様に起こったのは、数十にも及ぶ巨人形態のアクマの来襲…
 …そのアクマ達を相手に戦って戦って…どれ程の時が経っていただろうか…
 …ある時…不意にアクマ達がまったく唐突に攻撃を止め…
 …その場を退いた…
 …最後に残った一体が…奇妙な『言葉』を残して…

 …そして…それから暫く経って…消えたエクソシスト達が…消えたとき同様、全く唐突に姿を現した…
 …突然出現した謎の『扉』から…


 
運命の分岐(わかれみち)
           ―第3章―
              ―第2話―
 


 ―ミランダさんのイノセンスの御陰で、僕達は全員回復する事ができた…
 …戦いが終わった後…意識を失ったらしい、神田とクロウリーは、目が覚めたら『方舟』の外で…仲間に囲まれていたので、何が起こったのかわからず…
 …それを切っ掛けに…再び騒ぎが起こり…
 …そして…
 ―ゴホン!
 …誰かの咳払い…
 「…取り敢えずそろそろ話をしたいのだが…いいかね?」
 …そちらを見てみる…
 …ティエドール元帥だった… 
「…………あっ…えっと……済みませんでした…」
 …なんとなく気まずくて…口をついて出たのは…謝罪の言葉…
 …たぶん…『元帥』という『ソレ』ゆえの…条件反射みたいなものなんだと思う…
 …だって…ティエドール『元帥』だって、認識した途端…頭に…師匠が…金槌持った師匠の顔が…
 ………………
 …ああ…僕って……一体……
 …なんだか…無性に泣きたくなった…
 「……どうしたんだい?」
 …ティエドール元帥が目を瞬かせる…不思議そうに…
 …まあ…当然だと思うけど…
 「……あっ…えっと…済みません…」
 …更に謝る…だって幾ら同じ『元帥』でも…やっぱり『あの師匠』と一緒にするのは…失礼だろうし…
 「…??ホントにどうしたんだい?」
 首を傾げ更に不思議そうに言う。
 …ああ…こんな穏和そうな人を一瞬とはいえ…
 「…いえ…あの…『元帥』だって気付いて…あの…一瞬…一瞬だけ…師匠が頭を過ぎって…それで…条件反射で…その…つい…」
 …しどろもどろにそう言う…目がつい泳ぐ… 
 「済みませんッ!!」
 そして勢いよく頭を下げた。
 「…………」
 …………ち…沈黙が…コワイ…
 …ツゥーと冷たい汗が…背中を伝う…
 「…フウ…君は…確かマリアンの弟子だったね…」
 嘆息を吐いてティエドール元帥がそう言う…
 「…はっはい!」
 「…苦労…したんだね…」
 …慌てて答える僕に…そう言って…
 ―ポフッ…
 …そんな感じでティエドール元帥が、僕の頭に手を置き…そして…撫でた…
 ―クシャリ…
 「…あの男のことはよく知ってる…成る程確かに君の気持ちも解るよ…」
 ……怒られなかった……
 ……ああ…やっぱり…申し訳ない…
 「……有り難うございます…」
 「…でも…出来れば今後あの男と一緒にはしないでおくれ…」
 …そう言ったティエドール元帥の言葉には、沈痛なまでの哀切を感じられた…
 「……本当に済みませんでした…」
 …僕は…色んな意味で…謝るしかなかった…

                                            ―続く―