…パワーアップ…『剣』のことを言っているんだろう…
 「一人だけズルイさー」
 そんなことを言ってくる。
 …でも…口調はふざけているけど…実際の所はそう言う事で、間接的に僕が避けるであろう『僕のイノセンス』の『変化』に関して皆に知らせたのだろう…
 …さっきから…僕が肝心な事を抜かせて話しているのに気付いて…


 
運命の分岐(わかれみち)
           ―第3章―
              ―第4話―
 


 「パワーアップかい?…ふむ…イノセンスを発動して見せて貰ってもいいかな?」
 …そしてやはりティエドール元帥がそう言う…
 「…あっ!はい…」
 …断るわけにもいかない…か…
 『発動』
 …『神ノ道化(クラウン・クラウン)』を発動する…
 「…………ふむ…確かに最初に会った時より、強い『力』を感じるね……でも…ラビがパワーアップと敢えて言うくらいだ…これだけじゃあないんだろう?」
 …僕の方をジッと見た後…ティエドール元帥はそう言った…
 「そうさー!アレンの『左腕』がでっかい『剣』になってたんさー!」
 元帥の言葉にラビがそう返す。
 「『剣』にかい?…君は確か寄生型だったね…」
 …ラビの言葉に『何か』を考える様に、ティエドール元帥が言う。
 「…えっ?あっ!はい!そうですが…それがなにか…」
 …改めてそう言われ…僅かに戸惑う…
 「…寄生型は感情で武器を操り、変化させる…戦いの最中に君の感情に強く訴えかける『何か』があった…というところかな…」
 …元帥の言葉は…ある意味では『当たり』だった…
 「…死にたくないと…そう思ったんです…ティキ・ミックに真空の空間に閉じこめられて…息が出来なくて…発動も解けてしまって…それで…いつも通りに発動できないんなら、いつも以上に…シンクロする事だけを考えて集中しつづけていたら…気が付いたら…」
 …そこまで言った僕の言葉の後を引き取る様な形で…
 「『左腕』が『剣』になっていたということかい?」
 …ティエドール元帥がそう言った。
 「…はい…」
 「……そうか……ふむ…推測だけどね…多分君は臨界点を突破したんだと思うんだよ…『教団』に戻れば…否…連絡がつけばハッキリすると思うんだけどね…」
 頷いた僕に、ティエドール元帥が頭をポリポリと掻きながらそう言う。
 『!!!!!』
 そしてその場にいた、僕とクロウリーそしてミランダさんを除いた、以前から教団にいたエクソシスト達全員が顔色を変え、その発言をした元帥と、僕の方を見る。
 「…元帥…臨界点ってそれじゃあアレンくんは…」
 …リナリーが元帥に『何か』を確かめるようにそう言い…
 「ちょっ!アレンおまえ凄いさー!!わかっ…イタッ!なにするさっ!ジジイッ!」
 …そしてほぼ同時に何かを言いかけたラビが、ブックマンに殴られ…
 「…小僧…おまえさっきの話からすると肝心な場面を見ておらぬな…」
 …そう言って睨まれた後…
 「来いっ!おまえにはブックマンの……」
 …クドクドと何かを言いながら、ラビを引きずってブックマンは、離れていった…
 「…せっ!説教は勘弁さーー!!」
 …そんなラビの叫びを後に残して…

                                            ―続く―