…な…ん…で…

 ―…キーン…

 …ま…た…あ…た…ま…が…

 …クッ…


 
運命の分岐(わかれみち)
           ―序章―
              ―第3話―



 ―………………………………………………………………………………………………―

   「…くそっ!あんな化け物が森にいたんじゃ安心して暮らせねぇ!」
   「そうだっ!そうだっ!」
   …大きな声…聞こえる…すごく…こわい…
   「殺せ!殺せ!」
   …なに?…なに言ってるの?…よく…わからないけど…こ…わ…い…

 ―………………………………………………………………………………………………―

 ―…ドクン…

 ……なんだ…これ…この…『記憶』は…… 

 《…それは…お前の『記憶』でスv》
 ……こ…れ…が……
 《…そうでスvお前が昔『人間』に『化け物』と呼ばれていた頃の『記憶』でスv》
 ………そ…う…だ…ぼ…く…は…む…か…し……
 
 ―…ドクン…

 …………………………………………………………………………………………………… 

 …子供が…泣いてる…
 ……うっうっ……
 …わかる…しってる…あれは…僕だ…  
 「どうしたのですカ?vアレンv」
 …千年…伯爵…?…どうして…
 「…せ…せん…ねん…こう…うっく…ひっく…」
 …いま…僕は…なにを…
 …あの僕は…伯爵をなんて呼んだ?…
 「…なにを泣いているのですカv我輩の可愛いアレンv」
 ―…伯爵が…ヨシヨシと…小さな『僕』の頭を撫でる…
 「…僕は…人間じゃないの?…村のみんながいじめたのは…人間じゃないからなの?…村の人達が言ってたんだ…人間じゃないって…化け物だって…なんべんも殺したのになんで生きてるんだって…ねぇ…僕もアクマなの?だからアクマは優しくしてくれたの?助けてくれたの?僕がっ…」
 …なんだって…あの『僕』はなにを…
 「…違いますヨv…間違っているのはあいつらの方でスvあいつらは『出来損ない』の『神に見捨てられた人間』でスv『アレン』は『特別』な『神に愛された人間』でスv…」
 …なにを…
 「あいつらは『出来損ない』の上に恩知らずの裏切り者でスvそんなあいつらの言うことなど気にしなくて良いのでスv」
 …なんなんだ…これは…
 「…アレン…『アレン』の為に…『アクマ』も『ノア』も…そして…『我輩』もいるのですヨv」
 …なんだって…
 「…お前を苦しめる『モノ』は…全てこの世から消してやりまスv」
 …伯爵は…なにを…
 …言って…

 …僕の…ため…だって…!?…
 
 ……………………………………………………………………………………………………

 ―…ドクン…

 …僕の…ため…!?…どういうことだ…!?…

 ―…ドクン…

 《…『アレン』…ほんとうはもう思い出せているんでショウ?v》
 …しらな…
 《…嘘はいけませんヨv『アレン』v『七千年前』の『こと』はともかく…『十年前』のことはもう殆ど思い出せている筈でスv》
 …だって…それじゃあ…
 《…『アレン』v…もういまなら解っているのでショウ?v…その『イノセンス』の『正体』モv…そして『アレン』自身の…》
 …あ…ああ…ああ…

 …ごめん…みんな…

 …僕は…

 …ぼ…く…は…

                                            ―続く―