―…意識を…深く…深く…沈める…

 …その…『力』を…求めて…

 …ごめん…みんな…この『力』を求めることは…みんなに対する『裏切り』にも等しい行為なのかもしれない…

 …でも…

 …なんと罵られても…

 …『僕』は… 


 
運命の分岐(わかれみち)
           ―序章―
              ―第5話―



 ―…『そら』に浮かぶは白い『月』…

 …舞い散る『雪』…

 …立ち枯れた…木々と…数々の十字架…

 …そして…

 …足下には…暗い…水面…

 …『ここ』は…『あの時』見た…『夢』の世界…

 …でも…

 …今度は…違う…これは『夢』じゃない…

 …『夢』だけど『夢』じゃない…

 …解る…『ここ』は…

 「…来ましたネv」
 …不意に…降ってきた…その『声』…
 …振り返ると…其処には…
 「…千…年…伯爵…」
 …知っていた…
 「…他人行儀ですネェv『アレン』v」
 …ドクンッ!
 …『ここ』に『彼』がいることを…
 「…こうして…『ここ』で会うのは久し振りですネv」
 …にこにこと笑みを浮かべ…
 「…お前が…我輩達を忘れてから…我輩はずっとこの時を待っていましタv」
 …近付いてくる…『彼』が…ゆっくりと…
 「…アレン…本当だったら…『あの時』…マナの魂を呼び戻した『あの時』…お前を連れて帰るつもりでしタv…忘れていても構わなイvもう一度やり直そうトv…そう思ったのでスv…なのに…クロスが…マナはあの男と通じていたのでスv」
 …マナ…そうだ…マナは…
 …ああ…マナはノアだったんだ…
 「…だから…マナを…殺したんですか?」
 …ノアであるマナが簡単に死ぬわけが無い…マナを殺せる『モノ』がいるとしたらそれは…
 「…エエv…でも出来ればやりたくなかったのでチャンスは与えましたガv…それをフイにしたのはあの男自身でスv…だから我輩はあの男に『罰』を与えねばならなかっタv」
 …『罰』…そうか…だから…
 「…アレン…お前が『マナ』に拘るのなら『復活』は可能でスvその為に『あの時』わざわざ『魂』を呼び戻したのですカラv」
 …ああ…そうだ…
 …いまの…『僕』には…解る…『彼』が言っていることは…全部…真実(ほんとう)…
 「…『アレン』v…戻ってきてくれますネ?v」
 …ドクン…
 …『彼』が大きく両手を広げ『僕』にこちらにおいでと言うように、笑みを浮かべる…
 「…『アレン』帰ってきてよーvずーっと僕待ってたんだよ?v」
 …いつのまにか…『彼』の隣に…ロードが現れていて…
 「…寂しかったんだよ…アレン…」
 …ああ…そうだ…
 …だから…僕は…

 …僕は…戦えない…ノアと…

 …ごめん…みんな…

 「…うっ…せ…千…年…公…ロー…ド…」
 …ふらり…と…まえに…足が出る…
 …『彼等』の方へ…ゆっくりと…
 「オカエリv『アレン』v」
 ―ボサッ…
 …倒れ込む様な形になった『僕』を…『彼』が…抱きとめ…
 「…ズット…待っていましたヨv『この時』ヲv」
 …優しく…僕を…撫でる…

 …『あの時』…この『手』が…『僕』に…『安心』をくれた…

 …『あの時』から…『僕』は…ずっと…『この手』が好きだった…

                                            ―終わり―

                             ―運命の分岐(わかれみち)―序章―了―

                                            ―第1章に続く…