―『木の葉の奥』そう呼ばれる忍がいると云う…

 …暗部達の間で…ある種の都市伝説の様な形で噂される『最高の忍』『火影の切り札』…
 …その姿は任務の度に異なると言われるが、唯二つ常に変わらぬものは…薄紅の狐を模した暗部面(桜の花よりなお薄く陽光の下にあって尚判別の難しいと言われるその面の色は…それでも確かに仄かに朱色であると言われ…火に照らされているか…血を吸ったためかの様だとも言われていると言う…)そして…空の様な青い瞳…それだけは…常に変わらぬと言われている… 


 
噂と事実と真実と―1―


 「全員集まったな」
 その指定された待機所に、全員が集まっていることを確認すると、今回の作戦実行の為の準備を調えた『彼』は厳かにそう言った…
 …『彼』のその言葉に…初めてその場に集められた暗部達は、『彼』の存在に気付いた…

 「全員集まったな」
 …高く澄んだその声はけれど重々しく厳かだった…
 不意に聞こえたその声にカカシがそちらの方向を振り向くと、其処には何時からいたのか…己の部下達よりもまだ幼いのでは?という様な、子供の様な姿の…否実際先程の声の高さも思い返してみれば…幼げな感じなど無かったがゆえに聞いて直ぐには気付けなかったが…女の物で無ければ、子供としか思えぬ物だった…(…尤も…忍者の外見など変化の術で幾らでも変えられるし、声など術を使うまでもなく声色を変える事の出来る者などいくらでもいるのだが…)
 …兎に角…子供の姿をしたその暗部は…何年も前にカカシが噂で聞いたその内容のままに薄紅の…そうと知らずに一見しただけならば気付けない程に薄く限りなく白い…本当にその噂の通りに蝋燭の明かりによって染まっているだけの様にも思えるその独特の狐の面を着け…仮面の向こうから覗くその瞳は空は空でも夜空の様に群青の瞳を持っていた…

                             ―続く―

 ―あとがき―
 こんにちはRINですm(_ _)m
 …うーん…今回あんまり進みませんでしたね…
 …はっきり言って殆ど姿に関する描写だけですね…
 …えー…この話…もうお解りになっていると思いますが…一部を除いて殆ど本文中はカカシ視点になると思います…

 ―用語解説―
 『木の葉の奥』
 …えーと…取り敢えず現在書ける範囲で…
 本文中にも出てきた言葉で解りやすく書けば…
 『木の葉の奥』=『火影の切り札』という図式になります。
 『奥』と云う言葉には『奥の手・切り札』という意味があります。

                        ―それではまたの機会に―RIN―