―トゥルルルル♪トゥルルルル♪…
 受話器から聞こえるその音を聴きながら白い髪の少年がコードを玩ぶ。
 
 …待っている間の手並み草。

 コードと電話機の間には黒い小さな…まるで黒真珠のような『珠』…

 ―ガチャッ!
 不意に聞こえた受話器の向こうからの…その受話器を取る音はどこか慌ただしく…
 「…はい。黒の…教団です」
 受話器の向こうから聞こえたどこか緊張気味のその声に少年はその口の端に笑みを浮かべ…そして口を開いた…
 

 
―『偽りだらけ』の『正式入団』―
                  ―序―
  


 ―ジリリリーン♪ジリリリーン♪
 『黒の教団・室長室』に『その音』が鳴り響く。
 「はいは〜い!コムイで〜す♪」
 室長のコムイは『その音』に気付き、受話器を上げると、努めて脳天気な明るい声で応じる。
 
 受話器の向こう側から聴こえる『その声』に…相変わらずだな…と思いくすりと笑って…
 「…お久し振りです…コムイさん…」
 アレンはそう言う。
 受話器の向こうで…『室長(コムイ)』が驚くその姿が目に見えるようだなと思う。

 「!君はっ!いままでどうしてたんだい?」

 なにしろ…『自分』は『元帥』でありながら『何年』も『連絡』を取っていなかったのだから…

 …半分は不可抗力とは言え随分心配を掛けたようだし…なにより『結果的』とはいえ『何年』も『師弟』揃って放棄し続けた『報告義務』を『連絡』した以上は果たさなければならない。それは解っている。
 …けれど…

 「詳しくはまた後日ゆっくりとお話しします」
 僕はそう告げる。
 
 …到底電話で軽はずみに話せる『内容』ではなかったし…なにより…

 「ちょっ!クラウンくんっ!それどういうっ…!…クロスのヤツは一緒なのかい?」

 僕の返答に対して、僅かに焦り気味のコムイさんの声…

 「…師匠とは少し前に別れて、今は別行動しています。…近い内に『僕』だけ一度『本部(そちら)』に戻りますので…その時『報告書』を渡します」
 「…帰って…来るのかい…?…」
 
 淡々と告げた僕の言葉に、コムイさんが驚いているのが解る。

 「…はい…ただ…『直ぐに』と言う訳にはいかないので、大元帥には『報告』しないでおいて下さい」
 そう告げて受話器を置いた。 

                                       ―続く―



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